リフォーム・空き家対策
空き家問題の解決策!空き家対策特別措置法
空き家を放置できなくなった?
2014年の7月に、総務省が住宅・土地統計調査の結果を公開した。全国の空き家率は13.5%、軒数にすると820万戸が空き家になっているという発表がなされたわけだけれど、この数字に危機感を覚えた国民が大勢いた。大雑把に言ってしまうと、10軒に1軒が空き家になっているわけだ。これが2033年には3軒に1軒になるという予想も合わせて発表された。
早急に具体的な対応策を講じるべきだという声が全国的に高まり、2014年11月に空き家対策特別措置法が成立した。翌年2月に法律の一部が施行され、同年5月には完全施行された。この法律ができる前は、各自治体が定めた条例に基づく対策が講じられていたけれど、ほとんど実効性がなかった。でも、空き家対策特別措置法が制定されたおかげで、自治体による立ち入り調査や強制撤去が可能になった。
家の持ち主が自治体の助言・指導に従わない場合は勧告が発せられ、固定資産税が6倍に跳ね上がる。勧告も無視していると今度は命令が発せられ、最終的には最大50万円の罰金を課せられることになる。そうなってしまう前に家を撤去してしまう方が、どう考えても賢明だ。
放置しておくとどのような危険が生じるのか
誰も住まなくなった家をそのまま放置しておくと、家の老朽化が進み倒壊する恐れが出てくる。また、動物の住処になったり害虫が大量発生したりする可能性も高まるため、衛生上の問題も発生する。それ以外にも、ゴミが不法投棄される、放火される、犯罪組織のアジトにされるなど、様々な危険が考えられる。多くの問題をはらんでいることはわかりきっているのに、あえて家を建てたままにしておく持ち主が多かったのは、固定資産税の減免措置を受けられるというメリットがあったからだ。
でも、空き家対策特別措置法が施行された結果、このメリットがなくなった。それどころか罰金まで課せられるようになったのだから、行政の指導に逆らってまで家の撤去を拒み続けることに価値を見い出すことができなくなった。とはいえ、家を撤去するには何百万円もの費用がかかる。ない袖は振れないという理由で家をそのままにしている持ち主が少なくないため、自治体の中には空き家の解体費用を補助するところも現れてきた。
空き家を有効活用する方法について
最近、住む人がいなくなった古い民家をリフォームして有効活用するプロジェクトに積極的に取り組む自治体が増えてきた。改めて考えてみると、危険だからという理由で、リフォームすればまだ十分に使える家を取り壊して更地にしてしまうというのは、何とも短絡的な解決方法だ。おまけに、廃材を焼却すれば大量の二酸化炭素が出るから、地球温暖化防止という時代の要請にも反している。
地球資源には限りがあるのだから、空き家をリフォームして有効活用する方向に持っていた方が、ずっと建設的だ。実際に、過疎化が激しい地域で、リフォームした空き家をIターン者用住宅として活用している例がある。また、京都では、人が住まなくなった古い町家をリフォームして、アトリエやゲストハウス、レストランなどにするのが、ちょっとしたブームのようになっている。
自治体主導で行われているプロジェクトが多いけれど、一般の人が手持ちの古民家をリフォームして民泊施設にするケースも少しずつ増えてきている。誰かに貸して賃料を取ることができれば、税金などの維持コストをペイできるようになるだけでなく、安定的な収入源としての活路を見い出せるようになる。
全国的に急激な勢いで空き家の軒数が増加している。管理者がいない家をそのまま放置しておくことはとても危険なため、空き家対策特別措置法が制定された。強制力がある法律なので、今後は状況が改善されるのではないかと期待が寄せられている。また、家を取り壊して更地にしてしまうという解決方法はあまりに芸がなさすぎるため、最近ではリフォームして有効活用する方法が積極的に模索されている。外国人観光客向けの宿泊施設やレストラン、アトリエなどとして利用されるケースが、少しずつ増えてきている。