リフォーム・空き家対策
空き家対策特別措置法の施行と町家リフォームの動向
空き家対策特別措置法の具体的内容について
空き家対策特別措置法とは、「空き家」と認められる状態の建物を減らすことを目的とし、所有者に管理不全を是正するように指導、命令を行うことができる法律です。この法律によって、管理不全は空家があった場合には自治体は立ち入り調査を行うことができます。他にも所有者を特定するために個人情報を閲覧することや、ガスや電気の使用情報を確認することができます。
空き家対策特別措置法が成立した背景には、建物が老朽化し倒壊しそうなまま放置してあったり、草木が成長して周辺まではみ出たまま放置してあったりなど、本来物件の所有者が管理・リフォームすべきであるにも関わらず管理不全な状態で放置されているためです。この空き家対策特別措置法は、具体的には空家の所有者に対して、自治体が助言や指導を行います。これを無視すると、空家の状況改善の勧告が行われます。
「特定空家」に指定された場合には、通常の6倍の税金を支払わなければならないこともあります。これを無視した場合には、空家の状況改善の命令が出されます。この命令に背くと罰金50万円以下の処罰が科されます。
空き家問題の現状と空き家が増える問題点
現在8軒に1軒は空き家と言われているくらい空き家は増加の一途をたどり、空き家問題は深刻度を増していると言えます。空き家対策特別措置法を成立させる等法律により強制的に対策を行っていますが、それでも今後増え続けると言われています。空家が増える要因としては、取り壊し費用が高いことや、建物が建ててある土地の固定資産税が1/6になり安くなる結果建物が放置されてしまうことが挙げらることができます。
空家が増える問題点は、空き家の倒壊による被害、屋根などの飛散による被害、看板・塀などの脱落による被害、汚水の流出など衛生面の被害、害虫などの増殖、景観上の影響、道路通行上の被害など多々あります。私たちが普通の生活を行う上で直接的に被害もたらす可能性があるだけでなく、被害が長期間放置されると、大変危険になります。このような状況に対して、地方ではIターンやUターンなどで地方に戻る人に対して新しい住まいとして提供するなど、空家をリフォームし再利用できる取り組みを行っています。
町家リフォームの動向について
空き家対策特別措置法の成立を受け、町家リフォームを行い、空家を再利用する動きがあります。例えば京都市の取り組みでは、空家対策の一環として、空き家を改築して流通させる場合、もしくは町づくりの活動拠点として活用する場合には、その改築費用等の一部を補助する取り組みを行っています。
また、金沢市では、民間により大規模な町家リフォームが行われ、宿泊施設として再利用している例もあります。この例では、町家の情緒ある外観を残しながらも古民家風のおしゃれな宿泊施設にリフォームを行っています。歴史的な景観と相まって外国人旅行客にとても人気があるようです。
岐阜県群上八幡では、「城下町トライフ」と称してお試し町家暮らしなるサービスを提供しています。郡上八幡に移住したい、起業したいという人に対して、リフォームした町家を短期間格安で賃貸しています。この取り組みによって、若い人の郡上八幡への移住者が増え、町全体の活性化につながる施策となりました。
人口減や高齢者層の介護施設の利用により空家がさらに増えていきそうな中、空き家対策特別措置法により、所有者は所有物件の維持管理を行い続けなければならず、今後は持ち家の維持も困難といえそうです。高齢者の多い地域では、例えば高齢者の介護を行う代わりに、リフォームした古民家を提供する等、移住してくる若い人と長く住み続けている高齢者の双方にとってメリットがある施策を実施していくことにより、町が活性化するだけでなく、空家の減少にも繋がっていくのではないかと考えています。