観光インバウンド
【特別拝観】皇女尼僧の歴史 非公開の尼僧像4体の公開|眞如寺
京都市北区等持院北町にある萬年山眞如寺。
臨済宗相国寺派に属する、大本山相国寺の山外塔頭です。
眞如寺に眠る4体の尼僧像
こちらの寺院の本堂には、4体もの尼僧像が安置されていますが、拝観寺院ではない為、この事を知る人は少ないと思います。以前に訪問させていただいた際に安置されている尼僧像を拝見させていただきながら、過去の歴史についていろいろとお話を聞かせていただきました。寺社仏閣や宗教というジャンルに興味をいただいている方はもちろん、それ以外の方も「へー、なるほどー、そうだったのかー」と、ついつい聞き入ってしまう内容です。昨今、女性の働き方等に関しては、さまざまな角度から議論されていますが、この圧倒的な男性社会の中で、当時、どのような環境下で活動をしその地位を築いていったのか、ここから先はぜひ住職の口から直接聞いてみてください。
現在、一部の宗派では、既に尼僧の存在事態を撤廃していることもあります。宗派によって差はあると思いますが、過去の文化庁の統計によると、女性の占める割合はわずか数%のようです。京都市内で多くの寺社仏閣を訪れましたが、私がお目にかかれたのは2名の方のみです。全国で数百名という統計は、私の経験と近い値になっているなと思いました。ちなみに、尼僧とは、20歳以上で結婚経験の無い出家した女性を指します。皆さん、「あまさん」という言葉をよく耳にするため、「あまそう」と読んでしまいそうですが、正しくは「にそう」と読みます。
さて、脱線しましたが、眞如寺に安置されていた尼僧像、実は劣化が激しく、お顔も痛々しい状態になっていました。実は、それを国際日本文化研究センターの教授が5年に及ぶ修復作業の末、修復を完了させたそうです。そのきっかけを作ったのが同センターのパトリシア・フィスター教授です。過去の研究には、「工芸における伝統と革新:京都を中心とした職人産業の歴史的変遷と現状分析」などがあり、日本人より日本の文化を学び研究されている方です。
京都市が市民へ行った統計調査の中で、京都の伝統や文化の課題に「後継者問題、情報発信不足、新しいニーズの発見」を挙げる方が多くを占めていました。自国の文化や伝統を護るにも海外の方の協力が必要な時代になったのか、バトンの受け渡しがうまくいっていないのか、現代の日本人が魅力に感じるものに変化が生じてきているのか、いろいろと考えさせられる機会になりそうです。
さて、本題の非公開の尼僧像4体は、5月5日~12日までの8日間で特別拝観として公開されます。17~18世紀に作られた4体の尼僧像が修復された姿をぜひその目で確認してみてください。
講演会『宝鏡寺宮と眞如寺の歴史的関係』
また、期間中に尼僧像の公開を記念した講演会が行われます。
2019年5月7日(火)
「宝鏡寺の今と昔」宝鏡寺門跡 田中 惠厚 尼
2019年5月8日(水)
「知られざる皇女尼僧像」パトリシア フィスター氏 (中世日本研究所 研究室長)
2019年5月9日(木)
「文様にこめられた物語」モニカ ベーテ氏 (中世日本研究所 所長)
2019年5月10日(金)
対談「尼僧像修復に携わって」
美術院国宝修理所 技師 高田 明(あき)氏 × モニカ ベーテ氏
各日とも講演後、法堂内のお像前で講師による説明があります。
会 場/眞如寺書院(各日とも定員25名)
開始時間/午後1時30分(計60分)
申し込み/参加費2,000円(拝観料込み)
下記公式サイトから申し込みが可能です。
https://shinnyo-ji.com/